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Talk Vol.20

理解を広げ、ビジネス化へ(上)

全日本実業団自転車競技連盟理事長/Team UKYO主宰
片山 右京 氏

自転車業界の未来を目指して/ガラパゴス化している日本

二宮清純: JBCFの理事長に就任されたわけですが、自転車に関する連盟・協会はたくさんありますが、どのような位置付けなのでしょうか?

片山右京: 基本的にはボトムの組織です。一番上にあるのが、公営競技の競輪とオートレースを統括するJKA。その下にJCF(日本自転車競技連盟)があり、JBCFがあるという縦の流れになっています。UCI(国際自転車競技連合)に加盟しているのはJCFですが、日本ではJKAが頂点になるんです。

二宮: JBCFの理事長を引き受けた理由は?

片山: 私は6年前にTeam UKYOのサイクリングチームをつくって、この世界に入りました。そこで「ツール・ド・フランスに行きたい」という夢が叶うと思っていたら、そう簡単ではなかった。日本では自転車が悪者扱いされており、企業からも支援を受けにくい現状があります。そこでまずは自転車の地位向上に努めたいと思ったんです。

今矢賢一: そのために打ち出している策はあるのでしょうか?

片山: サッカーのJリーグやバスケットボールのB.LEAGUEのように2021年からプロリーグにする構想があります。あとは国際イベントの誘致です。現在、46大会運営しているレースを2年以内に100大会に増やしたいと思っています。約3000人いる登録者数も1万人にするつもりです。

二宮: その他に取り組んでいることは?

片山: 現在、自転車の電動化が進んでいます。JCBFはそれをスポーツにしようと。たとえばEバイク(電動アシスト付き自転車)を利用したヒルクライム(坂・山・峠を登る競技)の大会をつくることも考えています。

 

【ガラパゴス化している日本】

 二宮: 海外の自転車事情はどうでしょう?

今矢: オーストラリアに8年ほど住んでいましたが、サイクリングもすごく盛んです。週末はいくつかの場所で道路を規制してサイクリストが走れるようにしています。弊社では車いすマラソンの選手もサポートで海外に行くことも多いのですが、ロンドンはテムズ川から市内への主要道路を1車線サイクリング用に変えましたからね。

二宮: 日本みたいにブルーラインが入っているんでしょうか?

今矢: ロンドンでは車用の車線の1つを自転車用にしています。

片山: 日本がブルーのラインを引いているのは可視化して自転車を車だと認めされるための無理やり作ったものなんです。フランスやイギリスのように車と同じようにレーンを引いている国もある。日本は道が狭いからできないという話を聞きますが、世界も道は狭い。それでもパリは8kmしかなかった自転車道を1年で408kmに延ばした実績があるんです。日本では、車が偉くて「自転車は遊び」という思考がある。「自転車は歩道」と。しかし道路交通法上、今は車と同じ扱いになった。

二宮: 事故が起きると、Eバイクが悪役みたいに扱われますよね。

片山: 自転車自体が悪役になっていますね。今後はそういった指導や啓蒙をしっかりやっていけるかどうかが大事です。自動車でも自動運転などが進んでいますが、相互関係まではちゃんと設計されていない。

二宮: 確かに自動運転で急ブレーキをかけた際に、後ろを走っている車両のことまで計算されているわけじゃないですね。日本はルールづくりが後手後手に回っている印象があります。

片山: ガラパゴスなんですよ。

今矢: 本当そう思います。もちろん良い部分もありますが。

片山: でも時代が変わってきた中で、良い部分が小さくなってきた。去年、ノルウェーでロードの世界選手権が開催されました。その時に自転車が歩道を漕いで通過することは禁止になりました。ノルウェーも遅い方ですが、それによって日本が唯一、自転車が歩道を走る国になりました。だから外国の人はEバイクであれ、自転車が歩道を走っているのを見て、日本の倫理観が疑われているんです。日本人は影に隠れる卑怯者として見られる。そうやって世界から笑われているんです。

二宮: 2020年に東京オリンピック・パラリンピックが開催されることもあり、日本政府はインバウンド(訪日外国人旅行者/訪日旅行者)で4000万人を目標にしています。世界から日本に来て、自転車に乗る人もいる。今のままでは混乱が起きてしまいます。

今矢: 海外の方たちが世界水準のルールだと思ってやろうとすることが、日本では“おかしい”となってしまう。

片山: 今でも左の車線を自転車で走っていると、正面からEバイクでスピードに乗って走ってくることもあります。自転車で歩道を越えてきたりと、“これが法治国家なのか”と呆れます。

<Vol. 21に続く>

片山 右京 (かたやま うきょう)

1963年5月29日生まれ。83年にFJ1600筑波シリーズでレースデビュー。F1に6年連続参戦し、日本人最多の95戦に出場した。クラッシュを恐れぬ攻撃的なドライビングテクニックから「カミカゼ・ウキョウ」と呼ばれ、ファンから愛された。F1引退後は自転車競技選手として数々の自転車レースに参戦した。01年には「Team UKYO」を設立。今年2月より一般社団法人全日本実業団自転車競技連盟(JBCF)の理事長に就任した。